1. >
  2. >
  3. 看取り介護のケア方法
介護について

看取り介護のケア方法

食事を提供される方

看取り介護について

看取り介護とは、近い将来に死に至ることが考えられる方に対し、身体的・精神的苦痛をはじめ、苦悩をできるだけ緩和する援助のことです。死に至るまでの間、その方が充実かつ納得しながら、日々の暮らしを支援することを目的としています。要介護状態の体を改善・維持するための介護ではなく、ご本人が自分らしい最期を迎えるための介護を行います。

看取り介護で行うこと

身体的ストレスの緩和ケア

利用者の体温や血圧、脈拍といったバイタルを測定し、変化がないか管理を行います。死を間近にすると嗜好や趣味が変わる場合があるため、ご本人の希望を引き出すよう、こまめにお声がけすることが大切です。以前まで好んで食べていた物をさほど受け付けなくなったり、運動や入浴を嫌がったりと変化が出る可能性があります。

寝ている体勢が多くなるので、体の位置を変え、皮膚を保持するクリームを定期的に塗るのも重要なお仕事です。
また、呼吸機能が低下し、酸素がうまく取り込めなくなると手先や足先から冷えが生じます。利用者の方に負担がかからないよう足先を温める工夫をしましょう。

精神的ストレスの緩和ケア

時が経つにつれ、利用者の方はできなくなることが増えてきます。それに伴い、全身のだるさや痛み、発熱といった症状があらわれるため、死への恐怖という精神的なストレスを強く受けます。
介護側は、利用者の方のお話をこまめにお聞きするだけでなく、何を求めているのか確認をしてください。
手を握るのはもちろん、体をさすりながら寄り添うスキンシップも大切な役割を果たします。利用者がすぐに要望を伝えられるような環境をつくり、不安を取り除けるようと努めるのが大切です。

本人の希望に応じた食事と水分の補給

利用者の方の希望やペースを考えたうえで、食べたいときに食べたいものを提供します。飲みものも同じようにお渡ししましょう。看取り期の方は体力や嚥下機能が低下しているため、無理のない姿勢で食事や飲み物を少しずつ提供してください。

看取り期である方に対し「もっと食べて欲しい」という思いが巡るものですが、それはあくまで介護側の考えです。ご本人が食べるのを求めていないときに、食事や水分摂取を押し付けるのはよろしくありません。利用者の希望を第一に考えたうえで対応するのが大切です。

病気療養中に食事制限をされていた方が、看取り介護に入り、ご本人が食べたいものを提供するケースもあります。その際は医師に確認を得てから、ご希望の物を提供しましょう。

清潔な状態を保つ

利用者の方が常に清潔な状態を保てるよう、負担がかからない範囲で入浴を行います。入浴が好きな方であれば、短時間でも入浴できるようサポートしましょう。
入浴が難しい方に関しては、蒸しタオルなどを使って体を拭きます。可能な場合は温かいお湯で手や足を洗って清潔を保ちましょう。利用者の方が日々快適に過ごせるよう、寝具をこまめに変え、朝晩の洗顔や口腔ケアなどもこまめに行ってください。

利用者の方に適した排泄ケア

利用者の方の健康状態を把握するうえで、排泄は重要な情報です。排尿や排便の量や回数、尿や便の状態を観察したうえで、記録してください。
身体が動かなくなるにつれ、臓器の機能が低下し、尿量や便が減ってきます。ただし、身体の中に残っていた老廃物が排泄される場合もあるので、その点も把握しておきましょう。

利用者の健康状態によっては医師に相談をし、下剤・浣腸や腹部マッサージの検討をすることもあります。排泄の状態を観察し、最適なケアを行ってください。

家族の方に対するケアも大切

ご家族に対し、利用者の方の状況をこまめに届けることも重要な仕事です。介護スタッフは、家族の希望や意向を聞き、その希望を叶える支援が求められます。家族の精神面を大きくサポートするためには、ご家族への連絡をはじめ、相談、こまかな説明が必要です。

付き添いを希望するご家族には、布団や簡易ベッドの用意や、利用できる部屋の説明を行います。危篤・臨終時では、ご本人への言葉のかけ方や、手を握る・体をさするといった触れ合い方もお伝えしてください。

ご家族は、利用者の方が充実した人生の最期を迎えられるよう、看取り介護を選択します。施設で対応可能な医療行為の選択肢や、病院との違いなどもきちんと話し合いましょう。

利用者の方が亡くなった場合のご家族のケア

もし利用者の方が亡くなった際、重要になるのが「グリーフケア」です。グリーフケアとは、利用者の方を亡くしたことで、大きな悲しみを感じている方を支えるケアを指します。ご家族が死を受け入れ、正常な日常生活へ戻るまで支援するのも重要な役目です。

介護スタッフは、利用者の方がどのような介護を受けて生活を送っていたのかをお伝えしてください。利用者の存在を近い位置で感じてもらえるよう、写真や映像をたくさん残しておきましょう。

看取り介護をするうえで必要な思考

看取り介護だからできるケア方法

通常の介護と看取り介護のケア方法は異なります。嚥下(えんげ)力が低下した方に、利用者の方が好きな食べ物を少量提供するのは、通常の介護では行われません。安全を第一に考えつつ、ご本人やご家族の意思を尊重したうえでケアをするのが、看取り介護の特徴です。

看取り介護では、ご本人の体調を改善・回復する治療を提供するのではなく、身体的・精神的苦痛を取り除くケアを行います。通常の介護のケアと混同すると、自分が行っていることに不安を覚えるかもしれません。施設によっては、看取り介護の必要な視点・思考を習得するために、研修を必須で行うところもあります。

一人ですべて抱えるのではなく「チーム」で支え合う

自分ですべて対応しようと抱え込むと、不安やプレッシャーが重くのしかかります。特に夜勤時は職員が少ないため、適切な対応ができるか不安になるものです。不安を解消するためにも、緊急時の対応や利用者一人ひとりの看取り計画に沿った指示を確認しましょう。

オンコールの目安を夜ごとに決めるのも大切なポイントです。オンコール当番の場合は、現場にいるスタッフが不安を抱えないよう「困ったことがあれば連絡をしてください」と伝えてください。
特定の人に負担がかからないよう、チームとして支え合うことがカギとなります。

死を受け入れるための心の準備

利用者の方の死は、介護側に大きな負担を与えます。仕事と割り切って接しているものの、実際死と直面をしたとき、大きな虚無感に襲われるのも珍しいことではありません。
身近な死を経験していないスタッフの場合は、死を受け入れる心の準備ができず、気持ちが切り替えられない場合もあるでしょう。

「自身が行ったケアは本当に正しかったのか」と振り返るためにも、看取り介護を行った後は、デスカンファレンスを行います。亡くなった患者のケアを振り返り、今後のケアの質を高めるために必要な会議です。
自身を振り返ることで、看取り介護の具体的なイメージが浮かびやすくなり、現場で適切な対応が行えます。看取り介護を何度も経験されている方は、経験の浅いスタッフの不安が軽減されるよう、体験談をしっかり話すことも大切です。

入居所の方が亡くなった場合

介護スタッフがお通夜・葬儀に参列することを禁止するところもあれば、個人の判断に委ねられているところもあります。利用者が亡くなった時点で契約が終了と考えるのはドライな考え方ではありますが、不公平が生じないよう事業者側があえて掲げた配慮とも言えます。
ただし、利用者の方のお通夜や葬儀に参列しなかったことで、遺族からお怒りをかったケースもあるそうなので注意しましょう。

もしお別れを希望する場合は、葬儀の形態を確認することも大切です。一般葬の場合は身内だけでなく、さまざまな立場の方が参列できますが、家族葬の場合は基本的に家族や親戚のみの参列となります。
「身内だけで見送って欲しい」「大きな費用をかけたくない」といった故人や遺族の希望を尊重するために、家族葬を選択している場合があるため、その点はきちんと確認したうえで出向きましょう。

利用者側・介護スタッフ側どちらも納得できる介護を

利用者の方の最期を幸せなものにするよう、サポートをするのが介護職の努めです。双方が納得したうえで充実した最期を迎えられるよう、ご本人やご家族の想いや要望を汲み取ったうえで支援をしましょう。